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Karolinska hospital最後の一日

2011年7月14日(木曜日)は4年3ヶ月勤めたカロリンスカ大学病院での最後の仕事日となった。

働き終えた後、暖かく支えてくれた内視鏡室のスタッフに囲まれ、さすがに胸が熱くなった。彼女達は言葉ができない私達を、いつも支え、全幅の信頼をおいてくれた。同僚であり、友人であり、時に母親のようであり、公私にわたり暖かくしてくれた。

内視鏡看護部長のEllinエリンは、いつもこっそり私達を驚かせてくれた。あれは最初の年だった。山ほどのトラットカンタレルきのこを摘んで、乾かした物をプレゼントしてくれた。あれが私のスウェーデンでキノコ摘みに夢中になるきっかけだった。そして、カーリング女子代表チームのサイン入り写真をこっそり、カーリング協会に頼んでプレゼントしてくれた。同世代であり、子どものこともよく相談にのってもらい、いいアドバイスをしてくれた。

Leaはフィンランド人で、もう数年で定年になる元気な初老の婦人。何時も検査スケジュールが遅れるとイライラしはじめる、北欧には珍しいタイプ(笑)。フィンランド人はともかく我慢強いのが誇り。だから、彼女は患者さんが検査におびえていても、しっかり説明して、時には活をいれたりするのだ。チョー昔の日本的看護婦さん。彼女もよく、周辺の森で採れたカンタレルをプレゼントしてくれた。ただ、フィンランド人が食べる春の毒キノコ、ムルクラをいただいたときは度胸がなくて断念したが。毒は簡単に抜けるし、毒を抜けばとても旨いというのだが、教科書には猛毒とかいてある。頑強なフィンランド人しか耐えられないだろう(笑)。

Monitaは少しだけ年上の女性で、内視鏡室のスタッフとしてはこれ以上なく頼りになる看護婦さん。けっして出しゃばらず、かといって、引っ込みすぎず、絶妙のバランスで患者と医師の間にはいり、両者をサポートしてくれる。時々、二人で出張の仕事に出かける時には、「あなたしかできない」とこっそり言っておだててくれ、スウェーデンでの不安を取り除いてくれた。

その三人に囲まれ、三人とも言葉がでてこない。私もでてこない。ひとたび口を開けば、涙が落ちかねない。惜別の熱い沈黙。

言葉なんていらない。

また、出国まえにちょくちょく、来るからね、と言ってその場をごまかした。

慣れ親しんだ職場をふらっと歩き回る。もう、ここで働かないのだという実感が湧かない。しかし、今度戻ることがあるとすると、この見慣れた内視鏡室はないのだ。新しい病院に建て替えられているのだ。

おもえば、私達はスウェーデンで愛に恵まれた。たくさんの愛らしい人々に育てられた。愛のある国は愛のある人々を育てるのだと思う。

私は国民に愛のない国、放射線にまみれた大地から子ども達を避難させない国、国民を人間扱いしていない国にいく。狂った政治家、役人、大人達に乗っ取られた国。そこで、小さいながらも愛のある社会を自分で築けないか挑戦する機会を与えられた。困難な使命だ。

先ごろ、ストックホルム近郊のビルカを訪れた時、晴れていた島の上に急に雷雲がたちこめ、雷が始まった。そして、避難していた私の20m先に稲妻が落ちた。私の目の前に稲光が突き刺さり、ランプが割れた。

一瞬のできごとだった。あとちょっと近ければ死んでいたのだ。

凶事の暗示かもしれない。困難な先行きを暗示しているようでもある。でも、私には大きな使命に二の足を踏んでいる私に喝が入れられたのだろうと感じた。義を見てせざるは勇なきなり、挑戦せよ!という啓示なのだと思う。私はまだ、スウェーデンの愛に甘え、溺れるのは早すぎるのだ。もう10年、がんばったら戻ってこよう。

午後に息子がソンマルコロという林間学校から帰ってきた。10日間も預けて少々心配だったが、黒く日焼けした顔にきらきらに輝いた瞳で帰ってきた。一回り大きくなった気さえする。

それはきっと私自身の姿だ。スウェーデンでためたエネルギーを使って、素朴でも暮らしよい小社会を腐臭漂うホニャララ王国の中に作ってみたい。そのために行ってみるのだ。

新しい冒険がはじまるのだ。

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No title

ご無沙汰いたしております。
この夏がご帰国だったのですね。折角の仲間がいなくなってしまうのは、とても残念です。

ホニャララ王国の現状は大変そうですが、是非頑張ってください。そして、是非またもどってきてください。私はしばらくこちらにいる予定ですので、首を長くして「スウェーデンへのご帰国」をお待ちしております。

Re: No title

> ご無沙汰いたしております。
> この夏がご帰国だったのですね。折角の仲間がいなくなってしまうのは、とても残念です。

男には起たねばならぬ時がある、なんちって。「乱」を片付けねばならぬのです。リストラ、リビルドの旅です。スウェーデン流で挑戦してきます。

ビックリ致しました

ドクトル硝子さま、

ご帰国ですか?ずっと、お住みに成られるのかと思って居りましたので、ビックリ致しました。

既にご帰国ですか?

Dr.の滞在、本当に充実しておりましたね。ご子息も、とても大きな経験をされたのではないでしょうか。それが必ずこれから根に成って行く事と思います。

でも、何だか寂しいです・・・。

Re: ビックリ致しました

> ドクトル硝子さま、
> ご帰国ですか?ずっと、お住みに成られるのかと思って居りましたので、ビックリ致しました。
>

妙なことでほにゃらら国で仕事をしばらくします。ちょっとやそっとでは私の知っている日本に帰ることにはならないでしょう。

びっくり!

むむむ。
「欧州連合」の一角が崩れるのか…とやや落ち着かない気分になりました。
しかし「ほにゃらら王国」とだって、連携は出来ますよね。
今後も、ネットで繋がっていて下さる事と、期待してお有り増す。
パリより、愛を込めて。

Re: びっくり!

> 「欧州連合」の一角が崩れるのか…とやや落ち着かない気分になりました。
> しかし「ほにゃらら王国」とだって、連携は出来ますよね。
> 今後も、ネットで繋がっていて下さる事と、期待してお有り増す。
> パリより、愛を込めて。

少しでもゆでガエルになる前に救ってきます。しばらく、気配を消します(笑)。これはオノマさんしかわからないですね。
プロフィール

ドクトル硝子

Author:ドクトル硝子
2007年よりスウェーデンで働いています。趣味はカーリングとウインドサーフィン、そして旅。のんびり、まっすぐ、仲良く生きるのが好きです。Lagomとはスウェーデン語で”程よい加減””中庸”な感じ。程よい生き方ってなんでしょう?
Välkommen hos Doktor Glass blog. Jag är japansk som jobbar i Sverige. Jag skulle kunna skriva om japansk ämne på svenska. Jag letar efter ett lagom liv. Jag gillar mycket om glass (o^。^o).

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