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低線量放射線障害をかんがえる

毎日、東京電力福島第一発電所の原発災害を見守る日々が続きます。家族、友人、津波被災者の皆さんのことを思うと気が気ではありません。

なかでも、このごろの放射能汚染にまつわる数々の報道、解説員、有名人、財界人、政治家の発言、放言などを見るにつけ、あまりのクレージーさに目の前がクラクラする思いです。
 
医療従事者がx線を撮る時には必ず、鉛の窓の後ろに隠れて撮ります。そうでない、ポータブル撮影ではできるだけ、対象から離れて撮影し、技師さんは生殖器や甲状腺を鉛の服で防御します。それくらい、たかだか一回、50マイクロシーベルトの単純撮影でも注意をします。

研究所での核種を使った実験所では厳しい指導員のもと、出入りで靴を履き替え、服を着替え、入室。退室時には手を洗い、核種を室外へ持ち出さぬよう、それはそれは緊張したものでした。その扱う核種の放射線量なんて、x線に比較しても、本当に微々たるものでしたが。

それくらい、医療従事者は日頃から、放射線、放射線物質を緊張した気持ちで取り扱っています。

それが、放射線管理区域基準を超える放射線量が降りそそいでいても「ただちに健康に害はない」とか、洗ったホウレンソウから大量の放射線物質の残留が見つかっても、「例え食べてもただちに害はないが廃棄」とか、「日本の残留基準値は厳しすぎる。」などの発言が政治家から出るにつけ、そりゃ、思考回路が違うのじゃないか、枝野さん、岡田さんと叫びたくもなります。

おそらく、農家の救済を考えておられるのでしょうが、だからといって、基準を緩めて原発の2次被害者を生む可能性のある基準値緩和には抵抗があります。むしろ、広大な肥沃な農地に深刻な放射能汚染を引き起こしたことを正しく調査、認識し、東電および政府で農家を救済するのが筋ではないでしょうか。また、基準値は農家の被害認定にもかかわることでしょうから、あまりに広大な汚染だから基準値を緩和やむなし、とするのは穿った見方をされてもしかたないでしょうし、汚染の被害を消費者につけまわすと受け取られても仕方ないでしょう。さらに、基準値緩和をすれば疑心暗鬼をよび、いらぬ買い控えを呼び込むことでしょう。

第一義的に汚染した食品を買わぬ消費者が悪いのではなくて、汚染させた東電が悪いはずです。そこをぼやかす報道はいったいなんなのでしょう。

それにしても、こんなに日本人って放射能に鈍感だったっけ?いや、そんなはずはなくて、国、おもだった報道が努めて、平静を装えるようにわざと軽めに報道しているのだ、と善意に解釈しなくてはとても心の平静を保てぬほどの報道内容で驚きです。


しかし、どんなに放射線物質を安全だと思いたくとも、癌原物質に違いはなく、摂取したり吸引したりしない方がよいに決まってます。報道でめにつくのが、タバコの方が有害など、他との比較です。そうではなく、それまでの生活環境にもとづく癌になる危険度にあらたに危険性が上乗せされるのだという認識の方が重要だと思います。

そういうことだから、基準値を多少超えた食品でもほとんど癌にならないなどと解説するよりも、タバコをやめよ、焦げた物は控えろ、などの摂取を控えられる癌原物質を控える啓蒙を進める方が重要ではないでしょうか。

確かに、これまで報道された食物汚染、水汚染程度でただちに癌になるはずはなく、女性、妊婦、子ども、若者以外はほとんど害が無さそうです。

しかし、この状態が何ヶ月も何年も続くとなればはなしは別です。東電もようやく、事故解決まで年単位を要すると認めました。となれば、現在は汚染物質との戦いのほんの入り口とも言えるはずです。入り口のうちから、放射能汚染に対して、人体に影響がないなどと軽々しく言うべきではありません。できるだけ、摂取を控えさせる方が適切じゃないかと思います。

今後、放射能汚染地域の調査がすすみ、住民、国民は低線量放射線の被害に注意しながら生活することになるのでしょう。

しかし、この内部被曝を主とする低線量放射線障害による発癌の統計については不明な点も多いようです。確実なのは小児から若者の甲状腺癌が増加するということ。なので、ヨード剤の予防服用は非常に重要です。その他の癌との関係を示すデーターは極めて希有な事象ゆえにデーターが限られ、はっきりした物が言いにくいように思えます。

たとえば、チェルノブイリ原発事故の「死者の数」と想像力 今中哲二 (京都大学原子炉実験所、原子力工学)によるとチェルノブイリでの放射線被曝による死者数が全部で4000人とWHO、IAEA等の関係機関の研究で報告されたとありますが、実情を反映していない疑念が拭えなさそうです。

それにしてもその母集団が事故処理作業者20万人を含む高度汚染地帯の60万人を対象にし、4000人の癌死予測ですから事故に基づく癌死率予測、0.7%となります。しかし、これでは低濃度汚染地帯の影響がわかりません。

また、当時のソビエトでどれだけ正確な追跡調査が可能であったかはわかりません。一方で、ロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士は「放射能被害を過小評価」していると、福島原発事故での対応に警告しております。「放射能被害を過小評価」 ロシアの科学者 福島原発を懸念
彼によると「チェルノブイリ事故の最終的な死者の推定について、国際原子力機関(IAEA)は「最大9千人」としているが、ばかげている。私の調査では100万人近くになり、放射能の影響は7世代に及ぶ。」としています。

どちらが実態なのでしょうか?統計というのは調査が及ばない物を反映しません。拾い上げなければ、なかったことと同じにされてしまいます。

放射線被曝による発癌は理論値である程度の予測はできるようですが、内部被曝は個人の放射性耐性もからみ、とくに、低線量放射線障害による発癌の証明はなかなか困難でしょう。妊婦、子ども、若者は残りの人生を考えても注意すべきだろうし、癌家系の方々も注意すべきでしょう。結局、癌になってしまってから、事故との因果関係を証明しようとしても無理でしょう。だからこそ、できるだけ、摂取をさけるように指導して欲しいと思います。

さて、低線量放射線障害による発癌予測は正確な統計でなければ本当の物が見えてこない、とおもうのです。先ほどの今中先生の報告でスウェーデンの論文を引用されています。多くの国では大規模な追跡調査がなかなか難しいのですが、スウェーデンは国民背番号制であり、追跡調査が容易で、非常に疫学調査がしやすい強みがあります。

一部引用

スウェーデンで癌が増えている
チェルノブイリ からの放射能で汚染されたスウェーデン中部 北部地域を、セシウム137の地表汚染レベルで6つに区分し、114万人の住民を調査対象に選んだ。1988年から1996の間に2万2409件のガンが発生し、汚染レベル別のガン発生率を比較したところ、汚染レベルとともに統計的に有意なガン増加が認められた。観察されたガン発生の過剰相対リスクは、セシウム137汚染100kBq/m2当り0.11(95%信頼区間:0.03-0.20)である。ガン増加の原因が放射能 汚染であったとすると、観察されたガンのうち849件がチェルノブイリからの汚染によるものと見積もられている。

引用終わり。
つまり、セシウム137汚染100kBq/m2当り0.11倍、過剰に発生リスクが上昇することを意味します。私にはかなりな上乗せに思えます。


ちなみに原著論文はこちら
Increase of regional total cancer incidence in north Sweden due to the Chernobyl accident?2004

Increased incidence of malignancies in Sweden after the Chernobyl accident--a promoting effect?2006


このチェルノブイリを引き合いに出し、「甲状腺がんだけ注意していれば良い」とか(そんな軽はずみに言うなよ)、「実際には内部被曝は有意な害を示していない」とか「日本人の半分はがんで死ぬのだから放射能被害の影響は極わずか」とか朝生TVその他で発言される方もおりますが、統計の取り方の難しさを考えれば、そう言いきってはいけないでしょう。確かに、日本人の半分は結果としてがんで死にますが、多くは老人になってから急速に癌が増える訳です。それが、この度の事故で癌年齢が早くなることになれば、それは非常に問題だと思うのです。それは、きちんと統計を取らなくてはわからないことですが。

この度の原発災害にあたり、放射能汚染地帯をしらべ、住民を登録し、追跡調査を行なうのが低線量放射線障害を正確に評価するために非常に重要だと思います。また、被曝によると思われる癌患者の保証を行なうためにも、疫学統計をとれる体勢を整えるべきではないでしょうか。関係都県の公衆衛生教室で連携して行なえないものでしょうか。

いま、国民が最も恐れているのはこんなことじゃないでしょうか?

あるtwittから

memeomimi

「原発は危険」っていうと「原発は安全」っていう。
「放射線漏れた」っていうと 「健康には影響ない」っていう。そうして、あとで大変になって、
「病気になった」っていうと 「関係ない」っていう。
夢でしょうか、 いいえ、現実です。

事故を起こしたあとはきちんとフォローをよろしくお願いします。できれば統計調査フォローを東電と国から独立した医学会でできないものであろうか。
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プロフィール

ドクトル硝子

Author:ドクトル硝子
2007年よりスウェーデンで働いています。趣味はカーリングとウインドサーフィン、そして旅。のんびり、まっすぐ、仲良く生きるのが好きです。Lagomとはスウェーデン語で”程よい加減””中庸”な感じ。程よい生き方ってなんでしょう?
Välkommen hos Doktor Glass blog. Jag är japansk som jobbar i Sverige. Jag skulle kunna skriva om japansk ämne på svenska. Jag letar efter ett lagom liv. Jag gillar mycket om glass (o^。^o).

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