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労働者(医師、医療従事者etc)の一生を考えた労働環境

なぜスウェーデンに?のつづき。

良い労働環境についてご紹介したついでに、若い世代や子育て世代の労働環境がとうなっているかもご紹介しましょう。ここでは主に医師のケースをご紹介します。


日本の硬直的な労働環境はことさら、子育て世代と重なる若い医者には残酷なシステムだと思います。日本では医者になってから10年間位の間は競争のようなもので、みんなほぼ同じ程度に育って行かなくてはならない社会風土です。30歳を超えるまで、まず子どもなど邪魔でしかないし、女医さんにいたっては30前に子どもが来たら、出世や博士など一巻の終わりにすら思えることでしょう。そして、子どもが生まれ、育児期間になったら、まずしわ寄せがいくのは女医。せっかく博士になっても、第一線でやっていても、子育てをしながら一線病院で働き続けるのは相当困難でしょう。子どもが生まれれば発熱、病気などで呼び出されることはしょっちゅう。少なくとも小学生高学年になるまでには学校から早く帰ってきてしまう。当然ながら、出産前と同様の労働形態を維持できることは不可能です。子育ての負担を勤務先が容認してくれればラッキーですが、そうでなければ一線をしりぞく、あるいは主婦に専念という方も多いでしょう。

スウェーデンでは子育て世代と重なる研修医や中堅がどのような研修生活を行っているのでしょう?スウェーデンの30代、40代では女医さんが半数近くを占めます。彼女達抜きではスウェーデン医療は成り立ちません。世界中で過酷な科とされる外科ですら女医率が40%を超えています。卒後2年から4年の初期研修生活中に産休、育休を当然のように取り、それの休暇期間に応じて、初期研修期間が柔軟に延長されます。子どもの不意な発熱や病気で早退する権利は国民に広く認められた権利ですから、職場で嫌な顔をされずに休めます。初期研修が子育てで延長されてしまいますが、誰も焦ること無く研修をこなしていきます。周囲もその遅れを、当然のこととして容認します。

中堅医になり、博士課程に入ってからも同様です。スウェーデンでは高齢初産が珍しくありません。ちょうど博士課程に入ってから妊娠、出産もよくあることです。カロリンスカ大学では4本の論文出版が博士の条件です。日本の感覚で4年の間に必ず、4本としばられれば、彼女達が博士号を取得することは不可能です。博士課程中も出産育児期間に併せて延長されます。こうして、出産回数にもよりますが、6年から8年かけて博士を取得するという方もおられました。

さらに、彼女達を支える夫達の育休もご紹介する必要があります。産休は夫が代われることではありませんが、育休は夫にもできることです。そこで、妊娠、出産に当たり、夫婦で将来計画を練ります。妻が研修期間の進行具合、あるいは博士課程の進行具合に応じて、夫に育休を頼むこともよくあることです。私が赴任していらい3人の同僚が妊娠、出産をし、いずれも育休を夫にまかせ、職場復帰されました。夫は6ヶ月から1年半の育児休暇を取得し、存分に育児と格闘?あるいは楽しむ訳です。こうして、街中のカフェには育休のお父さん達が昼間からベビーカーを揺らしながらビールを飲み時間をつぶす光景が日常としてあるわけです。

このように、育児期間をサポートする社会制度と社会合意があり、スウェーデン女医さん達は一線に踏みとどまれる訳です。いわゆる生殖年齢期間は医師の叩き上げの期間と重なり、「鉄は熱いうちに打て」と考える日本人の感覚としては個々人の技術習得という点では欠点もあるように感じます。

しかし、トータルな医療システムを考えた場合、「長期熟成型」ともいうべきワークライフバランスを考えたスウェーデンスタイルは日本よりも安定したシステムを提供していると思います。子育てに手がかかるのはせいぜい45歳くらいまでですから、残りの20年をしっかり働いてもらえる人材が得られると考えれば、育児、子育て期間をしっかりサポートして残ってもらった方が得にすら思えます。

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No title

零戦の撃墜王坂井三郎氏の世界的ベストセラー "Samurai!" で、戦前の海軍航空隊は非常に厳しく候補生を選考し、ちょっとでも至らぬ点があった者は、どんどん辞めさせてしまったそうです。その結果少数精鋭のパイロット揃いになったそのはいいが、いざ太平洋戦争が始まってみると損耗が激しくパイロットの数が全く足りなくなり、逆に基準を大甘にして促成しようとしたがとても追いつかなかったそうです。

日本は同じ失敗を繰り返している気がします。

Re: No title

> 日本は同じ失敗を繰り返している気がします。

そうですよね。もはや、日本のお家芸ですね。最近、北里柴三郎の伝記を読み返してみましたが、当時から政治はなにも進歩していないどころか、さらに劣化しているように思います。この4年間、医療崩壊についてはなんの進歩もみられません。なんという生産性の悪さでしょう。船頭多くして船山に上る、船前へ進まずの典型です。各省にまたがる問題ですから、政治家が解決する他無いのですが、まぁ、30年かかっても無理ですね(苦笑)。

祝、新装開店

こちらへお引越しでしたか。スウェーデンの医師としての出発ですね。
2007年からなら、3年足らずで、よく適応されました、というよりも、性に合ったということでしょうね。
 日本がもっと無理の少ない国になってくれるといいのですが、これからも「人間にとって当り前で、日本では当り前でないこと」の数々を発信してください。ご活躍を念じます。いつか日本へも自由に往来する仕事をなさいませんか。

Re: 祝、新装開店

こんにちは、志村様。お加減はいかがですか。案じることしか出来ずやきもきしております。

> 2007年からなら、3年足らずで、よく適応されました、というよりも、性に合ったということでしょうね。

スウェーデン人は日本人に似ていると思います。気候は地元の北海道とさほどかわらず、適応しやすかったのでしょう。部屋に靴で上がらない、よく会釈をする。出しゃばらない。自己主張をしすぎない美徳がある。異文化を尊重しようとする。etc。スウェーデン人に一昔前の日本人を重ねてしまいます。私は一昔前の日本へ移住しようとしているのかもしれません。

> いつか日本へも自由に往来する仕事をなさいませんか。
体を診ることだけが医師の範疇で無いかもしれませんね。ひとまず、足場固めで精一杯ですね。
プロフィール

ドクトル硝子

Author:ドクトル硝子
2007年よりスウェーデンで働いています。趣味はカーリングとウインドサーフィン、そして旅。のんびり、まっすぐ、仲良く生きるのが好きです。Lagomとはスウェーデン語で”程よい加減””中庸”な感じ。程よい生き方ってなんでしょう?
Välkommen hos Doktor Glass blog. Jag är japansk som jobbar i Sverige. Jag skulle kunna skriva om japansk ämne på svenska. Jag letar efter ett lagom liv. Jag gillar mycket om glass (o^。^o).

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